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【声優講座④】外郎売り(ういろううり)

外郎売

外郎売り」について

声優養成所や演劇などを学ぶ時には、定番になっている「外郎売り」です。

 

声を出して、練習してみてくださいね。

 

外郎売りは、教える学校・講師・教科書によって、微妙に漢字などの読み方が違っているバージョンがありますが、これは愛楽優人が通っていた声優養成所で習っていたバージョンです。

 

 

 

 

外郎売

拙者親方と申すは、お立合の中に、御存知のお方もござりましょうが、
お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて、
青物町を登りへおいでなさるれば、
欄干橋虎屋藤衛門ただ今は剃髪いたして、円斎と名乗りまする。

 

元朝より大晦日まで、お手に入れまするこの薬は、 昔ちんの国の唐人、外郎という人、
わが朝へ来り、帝へ参内の折から、この薬を深く籠め置き、 用ゆる時は一粒づつ、
冠の隙間より取り出す。

 

よってその名を帝より、「とうちんこう」とたまわる。
すなわち文字には、「頂き、透く、香い」と書いて、「とうちんこう」と申す。

 

 

 

ただ今はこの薬、殊の外世上に弘まり、方々に偽看板を出し、
イヤ、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、色々に申せども、
平仮名をもって「ういろう」と記せしは親方円斎ばかり。

 

もしやお立合の中に、熱海か塔の沢へ湯治にお出でなさるるか、
または伊勢ご参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。

 

お登りならば右の方、お下りなれば左側、 八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り、
破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、 系図正しき薬でござる。

 

 

 

イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存じない方には、
正身の胡椒の丸呑、 白河夜船、
さらば一粒食べかけて、その気味合をお目にかけましょう。

 

まずこの薬をかように一粒舌の上にのせまして、腹内へ納めますると、
いやどうもいえぬは、胃・心・肺・肝がすこやかになって、薫風喉より来り、
口中微涼を生ずるがごとし。

 

魚鳥・きのこ・麺類の喰合せ、そのほか、万病即効ある事神のごとし。

 

 

 

 

さて、この薬、第一の奇妙には、舌のまわることが銭独楽がはだしで逃げる。
ひょっと舌がまわり出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。
そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。

 

アワヤ喉、 サタラナ舌に、カゲサ歯音、ハマの二つは唇の軽重、開合さわやかに、
アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロヲ、一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、

 

盆まめ、盆米、盆ごぼう、摘蓼、つみ豆、つみ山椒、書写山の社僧正、
粉米のなまがみ、粉米のなまがみ、こん粉米の小生がみ、
繻子ひじゅす、繻子、繻珍、
親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親かへい子かへい、子かへい親かへい、
ふる栗の木の古切口。

 

 

 

雨合羽か、番合羽か、貴様の脚絆も皮脚絆、我らが脚絆も皮脚絆、
しっかわ袴のしっぽころびを、三針はりなかにちょと縫うて、ぬうてちょとぶんだせ、
かわら撫子野石竹。

 

のら如来、のら如来、三のら如来に六のら如来

 

一寸先のお小仏に、おけつまづきゃるな、細溝にどじょにょろり。

 

京の生鱈奈良生まながつお、ちょと四、五貫目。

 

お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ茶立ちょ、青竹茶筅でお茶ちゃと立ちゃ。

 

来るわ来るわ何が来る、高野の山のおこけら小僧。

 

 

 

狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。
武具馬具、武具馬具、三武具馬具、合せて武具馬具、六武具馬具。
菊栗、菊栗、三菊栗、合せて菊栗、六菊栗。
麦ごみ、麦ごみ、三麦ごみ、合せて麦ごみ、六麦ごみ。

 

あのなげしの長薙刀は、誰がなげしの長薙刀ぞ。

 

向こうの胡麻がらは、荏の胡麻がらか、真胡麻がらか、 あれこそほんの真胡麻がら。

 

がらぴいがらぴい風車、おきやがれこぼし、おきやがれ小法師、
ゆんべもこぼしてまたこぼした。

 

 

 

たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、 たっぽたっぽ一丁だこ、
落ちたら煮てくお、煮ても焼いてもくわれぬものは、
五徳、 鉄きゅう・かな熊童子に、 石熊・ 石持・虎熊・虎きす・中にも東寺の羅生門には、
茨木童子がうで栗五合つかんでおむしゃる、かの頼光のひざ元去らず。

 

鮒・きんかん・椎茸・定めてごだんな、そば切り、そうめん、うどんか、 愚鈍な小新発知。

 

小棚の、小下の、小桶に、小味噌が、こあるぞ、
小杓子、こもって、こすくって、こよこせ、
おっと、がってんだ。

 

 

 

 

心得たんぼの川崎、神奈川、程ヶ谷、戸塚は、走って行けば、やいとをすりむく、
三里ばかりか、藤沢、平塚、大磯がしや、
小磯の宿を七つ起きして、 早天早々相州小田原とうちんこう、

 

隠れござらぬ貴賎群衆の、花のお江戸の花ういろう、
あれあの花を見て、お心をおやわらぎやという。

 

産子はう子に至るまで、 このういろうのご評判、ご存じないとは申されまいまいつぶり、
角出せ、棒出せ、 ぼうぼうまゆに、臼、杵、すりばち、ばちばちぐわらぐわらぐわらと、
羽目をはずして今日お出でのいずれも様に、

 

上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せい引っぱり、
東方世界の薬の元締め、 薬師如来も照覧あれと、ホホ敬って、
ういろうは、いらっしゃりませぬか。