【宅録講座③】「音声編集」の仕方・エフェクトの使い方
「音声編集」の仕方(エフェクトの使い方)
「音声編集」の必要性
「収録したままの音声」は、雑音が入っていたり、マイクを通した時に、音質が変わってしまっている事があります。
「音声編集」で、「収録したままの音声」を加工して、「高品質な音声」にする事ができます。
「音声編集」の仕方
音声編集は、「音楽編集ソフト」を使って行います。
音楽編集ソフトは、「無料版」と「有料版」がありますが、初心者の内は、無料版のソフトをいろいろ試してみると良いでしょう。
「エフェクト」について
音楽編集ソフトには、「エフェクト」という機能があり、様々なエフェクトを使って、音声データを加工します。
音楽編集ソフトによっては、「シンプル仕様で、エフェクトが使えないタイプ」「最初からエフェクトが入っているタイプ」「自分で好きなエフェクトを追加できるタイプ」などがあります。
エフェクトを、「どれくらいの設定にすればいいのか」は、ある程度の目安はありますが、「その人の感性」や「作りたい音」によりますので、音を聞きながら手探りで調節しましょう。
エフェクトをかける順番で、音に違いが出てきますが、「エフェクトをかける順番」は、人それぞれで、音を聞きながら好みで決めます。
「音声編集」の注意点
●耳が音に慣れてしまう
ずっと音声編集をしていると、耳が慣れてきてしまい、エフェクトのかかり具合が、よくわからなくなってきます。
「耳が慣れて、判断しづらくなってる」と思ったら、耳を休めるために、休憩を取りましょう。
●過剰にエフェクトをかけてしまう
エフェクトをかけていると、だんだん楽しくなってきて、過剰にかけすぎてしまう事があります。
加工した音声を、後から確認すると、ガチャガチャとうるさいだけになっていて、掛け過ぎていた事に気付きます。
エフェクトのかけすぎには、気を付けましょう。
「雑音の除去」をする方法
●「雑音」について
収録した音楽データには、全く雑音が入っていないように感じても、音量を大きくすると、「サー」という風の音や、「ブゥン」という振動の音が入っています。
「普通に聞く分には聞こえないし、そのままにしても構わない」と思ってしまうかも知れませんが、「音の濁りの原因」になってしまいます。
また、「人間の耳では聞き取れないほどの高い音と低い音」は、「残しておいても、データ容量がもったいないのでカットしておく」という意味合いもあります。
●「ハイパスフィルター」の使い方
「ハイパスフィルター」とは、「高い音を通して、低い音を遮断する」ためのエフェクトです。
振動音など、低く「ブゥン」と鳴っているような雑音は、「ハイパスフィルター」でカットします。
丸いツマミやゲージなどを動かして、「60Hz」など、周波数の数値で調節します。
あまり数値を高くし過ぎると、声質に必要な部分までカットされて、声が変化してしまいますので、しっかりと聞きながら調節しましょう。
●「ローパスフィルター」の使い方
「ローパスフィルター」とは、「低い音を通して、高い音を遮断する」ためのエフェクトです。
風の音や電気ノイズなど、高い音で「サー」や「キーン」と鳴っているような雑音は、「ローパスフィルター」でカットします。
丸いツマミやゲージなどを動かして、「2kHz」など、周波数の数値で調節します。
あまり数値を低くし過ぎると、声質に必要な部分までカットされて、声が変化してしまいますので、しっかりと聞きながら調節しましょう。
「歯列音の除去」をする方法
●「歯列音」について
「歯列音」とは、「サ行」を発音する時に、耳に刺さるような強い音です。
歯列音は、聞いている人に不快感を与えてしまう事があるため、気になる場合は除去しておきます。
●「ディエッサー」の使い方
「ディエッサー」とは、「歯列音」を目立たなくするためのエフェクトです。
エフェクトをオンにする事で、自動でやってくれるものや、歯列音の周波数や音量の数値を、手動で入力するものもあります。
必要な音も、歯列音として音量を下げてしまう事もありますので、しっかりと聞きながら調節しましょう。
「音量のバラツキ」を改善する方法
●「音量のバラツキ」について
収録した音声は、「小さな囁き声」や「大きな叫び声」など、音量にバラツキがあります。
そのままだと、「小さい声」は聞き取りづらく、「大きい声」は耳が痛くなってしまいます。
音量のバラツキがある場合は、「小さい声は大きくして、大きい声は小さくする」という加工をして、聞きやすい音量にします。
●「コンプレッサー」の使い方
「コンプレッサー」とは、「指定した以上に大きい音量」になっている部分を、「小さくする」ためのエフェクトです。
「どれくらい大きいと作動するのか」「どれくらい音量をさげるのか」「どういう緩やかさで下げるのか」などの調節ができます。
音量が大きくなった途端に、バッサリと音量を急に小さくする設定にしてしまうと、音が歪んでしまうので、違和感があまりないように、しっかりと聞きながら調節しましょう。
最大になっていた部分が小さくなった分だけ、全体の音量を上げる事ができますので、小さかった音も、聞きやすい音量になります。
「音質の調整」をする方法
●「音質の調整」の必要性
マイクを通した声は、直接聞く声よりも、こもった感じになります。
こもっている事を「抜けが悪い」と言います。
また、それぞれのマイクの性能によって、収録される音質に違いがあり、「すごくこもった声になるマイク」「キンキンした声になるマイク」「クリアだけど軽い声になるマイク」など、いろいろあります。
そのため、「自然な音質」に戻したり、「目的の音質」に変えたりするために、音質の調整をする必要があります。
●「イコライザー」の使い方
「イコライザー」とは、音楽や声の「周波数ごとの音量」を調節して、音質を変える事ができるエフェクトです。
クリアに聞こえやすい声にする他、あえて、こもった声にしたり、シャカシャカした声にしたり、キンキンした声にしたり、目的に応じて変化させる事もできます。
●「周波数の音域」について
「周波数の音域」の数値は、キッチリとは決まってはいませんが、「低音域」は「20hz~100hz」「中音域」は「100hz~1khz」「高音域」は「1kh~20khz」くらいと、覚えておくと理解しやすくなります。
キッチリと決められない理由は、編集する音が「男性の声」「女性の声」「楽器の音」で、基準になる音域が変わってしまうためです。
●「音域の調節」の仕方
〇「低音域」の調節
低音域は、「声の響き」に関係します。
低音域を大きくすると、響きのある落ち着いた声になります。
ただし、やりすぎると、こもったような声になります。
〇「中音域」の調節
中音域は、「声の雰囲気」に関係します。
中音域は、声の性質が一番多く含まれている部分のため、あまりいじり過ぎると、元の声質とはかなり違った声になってしまいます。
元の声質を大切にしたい場合は、あまり声質に影響がでないように、慎重に調節しましょう。
〇「高音域」の調節
高音域は、「声の通り」に関係します。
高音域を大きくすると、力強く通るような声になります。
ただし、やりすぎると、キンキンと耳に刺さるような声になります。
●「抜けが悪い音質」を良くする方法
「編集する元の音質」によって変わってきますので、ここでは一般的な方法を教えたいと思います。
実際に、イコライザーを使う時は、しっかりと聞きながら調節してください。
①「低音域」を少し小さくする。
声が大きく変化してしまって、「声の良さ」に影響を与えないように、低音域を少しずつ下げながら、声質がスッキリとクリアになるように調節します。
②「高音域」を少し大きくする。
キンキンし過ぎないように、少しだけ高音域を上げて、声がスっと通り、前に出てくるように調節します。
③「中音域」は好みで調節する。
中音域は、「声質に大きく関わる部分」のため、あまりいじりすぎると、元の声質から離れてしまいます。
元の声質を大切にしたい場合は、あまり触らないようにしましょう。
慣れない内は、ミリ単位でいじって、音の変化を感じてみてください。
元の音質や好みによっては、「低音域だけ」「高音域だけ」の調節でも良いでしょう。
逆にやりすぎると、ガチャガチャ、キンキンして、不快な声になってしまう事もありますので、少し時間を置いてから確認してみてください。
「空間」を表現する方法
●「空間表現」の必要性
声を収録する時は、「小さな部屋の中」で、「マイクのすぐ前にいる」という状態になります。
「収録された声」を聞いた時にも、「小さな部屋の中で、マイクの近くでしゃべっている声」という事がわかってしまいます。
声に「空間表現」を追加して、「反響のある広い場所」など、「目的の場所」にいるように加工します。
●「リバーブ」の使い方
「リバーブ」とは、声を発している場所の広さや、壁の硬さを表現する事ができるエフェクトです。
声に、「残響音を与えて、印象深く聞こえる」ように表現する事ができます。
また、歌のボーカルを宅録する場合は、リバーブをかける事で、曲との馴染みが良くなります。
リバーブを強くかけすぎると、「お風呂場で収録している」ような感じになってしまいますので、しっかりと聞きながら調節しましょう。
●「デュレイ」の使い方
「デュレイ」とは、音声を遅れて返す事ができるエフェクトです。
いわゆる「やまびこ」です。
声が、「部屋や建物の中の壁に当たって、跳ね返ってきた」という表現をする事ができます。
強くかけすぎると、「洞窟の中でしゃべっているような感じ」になってしまいますので、しっかりと聞きながら調節しましょう。
「最終的な音量」を決定する方法
●「最終的な音量」について
「最終的な音量」は、適当に決まっているのではなく、「音量の基準」があります。
全ての編集が完了したら、最終的な音量を調節しましょう。
●「0db」を超えないようにする
音楽編集ソフトに表示されている音量ゲージが、「0db」を超えてしまうと、赤いランプが点灯するようになっています。
「0db」を超えてしまうと、超えた部分の音が歪んだり、キンキンした音になったり、音質が悪くなってしまいます。
この事を「音が割れる」と言います。
「音が割れない」ように、気を付けましょう。
可能な最大の音量が「0db」ですので、使用目的に応じて「-5db」や「-10db」などに、調節すると良いでしょう。
●「音量の調節」の仕方
一番簡単な「音量の調節」の仕方は、「音量ゲージ」を上げ下げする事です。
手動で調節するため、「0db」を超えている部分がないか、必ず、最初から最後まで確認しましょう。
●「ノーマライズ」の使い方
「ノーマライズ」とは、自動で最大値の音量を調節する事ができるエフェクトです。
ノーマライズの設定画面で、「-5db」と入力して決定すると、その音声の最大値の音量が「-5db」になるように、全体の音量を変更してくれます。
●「リミッター」の使い方
「リミッター」とは、設定した音量を超えないようにする事」ができるエフェクトです。
全体的にはちょうど良い音量なのに、一部分だけ「0db」を超えてしまうという場合は、リミッターを使う事で、「0db」を超えないようにする事ができます。
リミッターを「0db」に設定すると、「0db」を超える部分は「0db」に抑えられます。
必要に応じて、「-5db」や「-10db」など、自由に調節する事ができます。
「その他のエフェクト」につい
エフェクトには、他にもたくさんの種類があります。
同じ「コンプレッサー」という名前でも、開発した人によって、効果がかなり違っています。
また、「マルチコンプレッサー」など、機能が増えているようなエフェクトもあります。
自分が使いやすいエフェクトや、好みのエフェクトなど、いろいろ探して、研究してみてください。
声や音を加工できるようになると、表現の幅が広がります。