【小説講座⑦】帰納法と演繹法・起承転結と序破急
「帰納法」と「演繹法」
帰納法について
帰納法とは、ストーリーを作る際に、先に「結末」を決めて、その結末に向かうように逆に考えていく方法です。
これから物語の向かう未来がわかっているため、そこにいたる道を考える事で物語が作られていきます。
帰納法で書くと、すでに結末が決定していてブレる事がないため、整合性のあるストーリーを書く事ができます。
演繹法について
演繹法とは、ストーリーを作る際に、物語の始まりから順に考えていく方法です。
結末が決まっていないため、書いている途中に思いついたアイデアを盛り込んで書いていく事ができます。
書き始める前にイメージしていたものと大きく変わってしまう事もありますが、予想を超えたストーリーになる事があります。
しかし、「風呂敷を広げすぎてたためない」という状態にならないように、気をつける必要があります。
「起承転結」と「序破急」
「起承転結」と「序破急」は、このスタイルに、必ずなっていないといけないというものではありませんが、物語をどう作って良いのかわからない初心者の人は、このスタイルで書いてみると良いでしょう。
昔から使われている「物語の基本スタイル」ですので、多くの物語で見る事ができます。
「起承転結(き・しょう・てん・けつ)」について
起承転結とは、古代中国の詩の構成方法が起源になっている、ストーリーの基本スタイルです。
●起(き)
物語の導入部分です。
物語の世界観、登場人物、現在の状況を読者に伝えます。
●承(しょう)
物語を発展させていく部分です。
「起」で伝えた内容をふくらませて、物語の魅力を伝えます。
●転(てん)
物語に大きな変化が訪れる部分です。
平和だった日常が壊れたり、絶体絶命のピンチに陥ったりと、「物語の問題点」が発生します。
大きなピンチは物語を大いに盛り上げます。
●結(けつ)
物語を締めくくる部分です。
「転」で起こった問題を解決して、物語を終わらせる大事な部分になります。
ここがうまくできていないと、全てが台無しになってしまいます。
さらに、「起承転結」の「起」の中、「承」の中にも、小さな起承転結があります。
○起 (起承転結)
○承 (起承転結)
○転 (起承転結)
○結 (起承転結)
と、なって物語は作られています。
「序破急(じょ・は・きゅう)」について
序破急とは、舞楽や雅楽などの構成方法が起源になっている、ストーリーの基本スタイルです。
●序(じょ)
物語の導入部分です。
物語の世界観、登場人物、現在の状況を読者に伝えつつも、読者をおもしろさで物語の世界に引き込みます。
「掴み」に当たるため、とても大切です。
序で興味を持ってもらえない場合、それ以上読み進めてもらえない可能性があります。
●破(は)
物語に大きな変化が訪れる部分です。
物語が広がっていき、事件や問題が起こり、大いに盛り上げていきます。
「序」で読者の興味を引いた後は、「破」で自分が表現したい物語を伝えます。
物語の情報量が一番多くなる部分でもあります。
●急(きゅう)
物語を締めくくる部分です。
「破」で起こった事を収束させ、物語をしっかりと終わらせます。
「物語を読んでよかった」と読者に思わせられるようにする事が大切です。
ここがうまくいっていないと、「読んで損した」と思われる事になり、全てが台無しになってしまいます。