【小説講座⑮】世界観設定の必要性・世界観の選び方
「世界観設定」の必要性
世界観とは、物語内の世界がどのようなもので、そこに住んでいる人たちはどのような生活をしているか、などの事です。
物語を書く場合は、世界観設定が重要になります。
世界観設定がないまま物語を書き始めてしまうと、その世界にないはずのものが出てきてしまったり、読者に違和感を感じさせてしまいます。
時代劇について
例えば、「時代劇」の小説を書く場合、書く時代について詳しくなっておく必要があります。
テレビの時代劇には、間違った表現を防止するために、ちゃんと「時代考証」をする教授などが関わっています。
●時代劇でおかしいもの
大勢で鍋はつつかない。
大勢で1つの鍋を直箸でつついて食べるのは、汚らしい、品のない作法とされていたため、一人鍋が一般的でした。
お尋ね者の人相書きは絵ではない。
よく時代劇で墨で書いた絵が貼られていたりしますが、実際に江戸時代では「中肉中背」や「太い眉毛」など文字で表現されていました。
戦国時代の女性は、テレビでは必ず正座をしていますが、本当は正座をせずにあぐらで座っていました。
●「あえて」する事もある
ただし、「実際にはおかしい」が「演出に必要なもの」をどこまで表現するかが鍵になります。
お祝い事なら大勢で鍋を囲んで盛り上がっている方が絵になります。
お尋ね者は、絵で表現した方が見ている人にわかりやすくなります。
着物を着た女性がすそをはだけながら、あぐらをかいていたら品がなく見えてしまいます。
「見ている人がおかしいと感じない」なら、演出的に良い方を選ぶ事も大切です。
この取捨選択をするためにも、「世界観設定」が必要になります。
ファンタジー(架空世界)について
ファンタジー(架空世界)の場合は、その作家独自のものであるため、しっかりと世界観設定をして、読者にわかるように表現する必要があります。
街並みや世界について表現する時に、ちゃんと統一した表現がされていないと矛盾が出ますし、必要になってから急に出してくると取ってつけたようになってしまいます。
「世界観の選び方」と「考えておくと良い事」
世界観の選び方
世界観選びは、自分が得意だったり好きな世界観でも良いですが、考えた物語が「一番引き立つ」ものを選ぶ方法もあります。
「男女の恋愛」の物語を書く場合、現代・時代劇・近代・ファンタジーなど世界観が違うと、恋愛の形や表現方法も変化します。
「その世界観だからこその恋愛模様」をしっかりと表現できるようにしましょう。
考えておくと良い世界観設定
最低限考えておいた方が良い世界観設定は、主人公や周りの人がどういう生活をしているのか、主人公が動き回る街や世界はどういうものなのかという部分です。
主人公たちを語る上で必ず必要になるので、しっかり考えておきましょう。
考えておいた方が良い事
○どんな生活をしているのか。
○どんな建物があるのか。
○どんな文化があるのか。
○どんな歴史があるのか。
○どんな政治と宗教があるのか。
○どんな職業があるのか。
○どんな学問があるのか。
○どんな移動手段があるのか。
書く物語によって必要になるもの
○警察について。
○魔法について。
○モンスターについて。
○武器の種類・戦闘スタイルについて。
「最初に決めた設定」を変更する必要性
「最初に決めた設定を変更する必要性」とは
最初に決めた設定を元に物語を書き始めても、物語の途中や後半になると、「もっとこうしたいのに、設定の制限があるからできない」という場面が出てきます。
その場合は、2つの選択肢があります。
●設定(ルール)を守りながら物語を作る。
この場合は、囲いが狭いまま物語を書く事になるため、うまくやらないと物語がこじんまりとしてしまう可能性があります。
●設定(ルール)を変更して物語を作る。
この場合は、最初にさかのぼって変更後の設定でも矛盾がないように、矛盾している箇所を修正していく必要があります。
修正に手を抜いてしまったり、修正せずに書き進めてしまうと、読者に「こんなのがあるなら、前の時に使ってたら良かったのに」など、違和感を感じさせてしまいます。