【イラスト講座④】色の三属性(色相・明度・彩度)・混色
【 塗りの基礎編 】物が見える原理
「物が見える」という事を、普段はあまり意識する事がありませんが、色を理解するための基礎知識として、「物が見える原理」を知っておきましょう。
物を見るという事は、「目・物・光」の3つの要素がある事で成立します。
●目
物を見るには、物を見るための「目」が必要です。
目の代わりに、「カメラ」という場合もあります。
●物(物質)
「見る対象」がなければ、「そこに何もない」という状態になってしまい、物を見るという事が成立しません。
●光
「光」がなければ、「辺り一面真っ暗闇」になってしまい、「見ている目」と「物」があっても見る事はできません。
「光」の性質
光には色があり、「波長」によって違う色に見えます。
●昼光(ちゅうこう)
太陽の光など、「全ての波長」を含んだ光です。
物の色が自然な色合いで見えます。
●昼光(ちゅうこう)
太陽の光など、「全ての波長」を含んだ光です。
物の色が自然な色合いで見えます。
●昼光色蛍光ランプ
青色の波長が少し多い光です。
昼光色蛍光ランプに照らされると、少し青っぽい色合いに見えます。
「光源色」と「物体色」
色には、「光源色」と「物体色」の2種類があります。
●光源色
光源色とは、ライトやロウソクの火など、自ら光を発しているものの色です。
自ら光を発しているため、「光を発している物体」と「目」があれば見る事ができます。
●物体色
物体色とは、小物や床・壁など、それ自体は光を発しないものの色の事です。
自ら色を発していないのに色が見えるのは、太陽や蛍光灯などの光を、物が「反射」する事で見えています。
(光がない場合、そこに物体色の物があっても暗くて見る事ができません)
色が違って見える原理
素材や塗料によって、「反射している色」に違いがあり、その違いによって「いろんな色」に見えています。
●「白」に見える物
「全部の光を強く反射している」ため、白く見えます。
反射している光の量が多いため、他の色より眩しく見えます。
●「黒」に見える物
「全部の光をあまり反射しない」ため、黒く見えます。
反射している光の量が少ないため、他の色より暗く見えます。
●「黄・赤・緑・青」などに見える物
「赤」に見える物は、「赤の光を強く反射し、それ以外の色をあまり反射していない(物質に吸収される)」ため、「赤」に見えます。
「緑」に見える物は、「緑の光を強く反射し、それ以外の色をあまり反射していない(物質に吸収される)」ため、「緑」に見えます。
(その他の色も同じです)
また、「反射する度合い」や「物体に吸収される度合い」で、色や明るさが変わってきます。
「反射」について
反射には、「正反射」と「拡散反射」という2種類があります。
●正反射
正反射とは、滑らかでつるつるしている面に当たった光が、規則正しく一定方向に反射する事です。
光が同じ方向に反射するので、光の当たっている所が強く光ります。
例:金属など
●拡散反射
拡散反射とは、でこぼこした面に当たった光が、いろんな方向に反射する事です。
光がバラバラに乱反射されて分散されるため、強く光りません。
例:木製品・布製品など。
「透過」について
透過には、「正透過」と「拡散透過」という2種類があります。
●正透過
なめらかでつるつるしたガラス面に光を当てると、光はまっすぐ進むため、ガラスの向こう側をはっきり見る事ができます。
例:透明な窓ガラス、透明なコップ、澄んだ水面など。
●拡散透過
おうとつのあるガラス面に光を当てると、光は様々な方向に拡散されるため、ガラスの向こう側ははっきりと見えなくなります。
例:すりガラス、おうとつのあるコップ、磨いていない宝石の石など。
【 塗りの基礎編 】混色
加法混色(かほうこんしょく)
「加法混色」とは、「赤・緑・青の3つの光の色」を使って、色を混ぜ合わせて、新しい色を作る事です。
加法混色は、光を混ぜ合わせるため、色を混ぜるほど光の強さが上がっていき、明るい色になっていきます。
「赤色のフィルムを被せた懐中電灯」と「青色のフィルムを被せた懐中電灯」と「緑色のフィルムを被せた懐中電灯」があるとします。
部屋を暗くして懐中電灯をつけます。
赤色の懐中電灯の光の上に、緑色の懐中電灯の光を重ねると黄色の光になるのですが、この時、2つの懐中電灯の光が合わさる事で明るさが2倍になります。
そこに青色の懐中電灯の光を重ねると、色は白色になり、明るさは3倍になってさらに明るくなります。
減法混色(げんぽうこんしょく)
減法混色とは、「マゼンタ(赤紫)・イエロー黄色・シアン(緑みの青)」の3つの着色料の色を混ぜ合わせて、新しい色を作る事です。
減法混色は、着色料を混ぜ合わせるため、色を混ぜるほど光の吸収率(反射しない率)が上がっていき、暗い色になっていきます。
学校の美術の授業で、絵の具を使って、「青色と黄色を混ぜて緑色」を作った覚えのある人は多いと思いますが、
さらに、別の色をどんどん足して混ぜていくと、最終的には「濁った暗い灰色」になってしまうのは、このためです。
【 塗りの基礎編 】色の三属性
「色相」について
「色相」とは、赤・緑・青・黄など、「色味」の事です。
●「色相環」について
「色相環」とは、有彩色を色味ごとに整理して、わかりやすくしたものです。
●「補色」について
「補色」とは、「黄に対して青紫」「赤に対して青緑」など、色相環の反対側に位置する色の事です。
補色同士は、お互い色の性質が反対になるため、配色を考える時に参考になります。
「明度」について
「明度」とは、明るい赤・暗い赤など、「色の明るさ」の事です。
明るい事を「明度が高い」、暗い事を「明度が低い」と言います。
「彩度」について
「彩度」とは、淡い赤・あざやかな赤など、「色の強さ」の事です。
淡い・くすんでいる事を、「彩度が低い」。
鮮やかな事を、「彩度が高い」と言います。
【 塗りの基礎編 】色の特性
「有彩色」と「無彩色」
●有彩色
「有彩色」とは、赤・黄色・緑・青・紫のように、「色味のある色」の事です。
●無彩色
「無彩色」とは、白・灰色・黒のように、「色味のない色」の事です。
「暖色」と「寒色」
●暖色(だんしょく)
「暖色」とは、黄色・オレンジ・赤などのように、「温かさを感じる色」の事です。
また、暖色系の高彩度の色は、「興奮感を起こさせる色」です。
●寒色(かんしょく)
「寒色」とは、水色・青・紫のように、「寒さを感じる色」の事です。
また、寒色系の低彩度の色は、「沈静感を起こさせる色」です。
「膨張色」と「収縮色」
●膨張色
「膨張色」とは、暖色系の色や明るい色など、「本来の大きさより膨張して見える色」の事です。
また、膨張色は、前に出っ張って見えるため、「進出色」とも言います。
白や明るい黄色など、明度が高い服を着ていると、同じ位置に並んでいても前に出て見えたり、大きく(太く)見えたりします。
●収縮色
「収縮色」とは、寒色系の色や暗い色など、「本来の大きさより、収縮して見える色」の事です。
また、寒色は、後ろにへこんで見えるため、「後退色」とも言います。
黒や濃い青色など、明度が低い服を着ていると、同じ位置に並んでいても、後ろに下がって見えたり、小さく(細く)見えたりします。
「柔らかい色」と「硬い色」
●柔らかい色
白や薄いピンクなど、 明度がとても高い色(白っぽい色)は、「柔らかく感じさせる色」です。
また、柔らかい色は、「軽く感じる色」でもあります。
●硬い色
黒や濃い青色など、明度がとても低い色(黒っぽい)は、「硬く感じさせる色」です。
また、硬い色は、「重く感じる色」でもあります。